アンチデザイン論

Less is moreという言葉があります。「少ない方が豊かである」というように訳される言葉ですが、デジタル・デザインの領域においてはとても大切な考え方であるように思います。

私がWebをデザインする際は、なるべく不必要な要素を付けないことを大切にしています。国や地域・人種などになるべく依存しない、本当の意味でのグローバルでユニバーサルなデザイン。国内向けのデザインであれば、ある種のガラパゴス的なデザインも有効ですが、それでもデザインの潮流はゆっくりと時間をかけて、国際的なスタンダードへ収斂していきます。

感覚的な概念であるため、言葉では伝わらない部分も多いかもしれませんが「余計なことをしない」ということを一つ大切なキーワードとして据えていきたいです。究極的にはWebなんてtxtファイルでよいのかもしれません。

ECサイトでも、デザインする際、デザインやシステムに拘った結果、速度が低下して結局成果が出せなかったりする落とし穴があります。ブランディングとしてのデザインは大切ですが、顧客は何も拘ったWebデザインを見に来ているわけではなく、単純に商品と価格を見に来ている場合がほとんどです。

情報過多な時代においては、情報が少ない方が逆説的に強いのかもしれません。ユーザの視線の動かし方や思考まで計算して考える必要があります。余計な要素を付ければ付けるほど、本来伝えたい本質から遠ざかってしまうケースがほとんどです。デザインを考えてみた結果、結局何もしないのが一番のデザインになった、それもそれで一つの正解なのかもしれません。

ピーマンを調理するよりも、そのまま生で齧ってみたら美味しかった。そういうことなのかもしれません。